淋しさを炬燵の中に隠しけり
昭和62年、25歳の若さで亡くなった、自由律俳人の住宅顕信。波乱の生涯とその作品は、今もなお私を引きつける。
どこまでものびている影も淋しい 住宅顕信『未完成』
彼は作品の中で率直に「淋しい」という言葉を使っている。武骨にストレートに、また緻密に語りかけるように、様々な形でその淋しさを表現している。
キリギリスが死んでクワガタが逃げた日 せきしろ『まさかジープで来るとは』
淋しさを詠むのは難しい。ただ単に淋しさだけが宙に浮いてしまい、読み手に情景が伝わらないこともあるのでは。きっと、淋しさの中にさらなる何かが内包されていなければいけないのだ。
コタツで足がつった事実を隠した 又吉直樹『まさかジープで来るとは』
淋しさのなかにおかしみが見える、こんな句も好きだ。