次は他者を主題として書かれた句を挙げた。母が嚙んだ林檎と自分が嚙んだ林檎の音の違いを繊細に聞き分けている。その繊細さからも分かるように、この句は他者の動作から始まり、音のかすかな固さという作者自身の感覚に結び付けて句を終らせている。
鎌動く影にて蟷螂だとわかる
バケツから手花火生えてゐるごとく
それは、最初写生句の様相を見せながらも「わかる」という主観に終わる一句目、同じく「ごとく」という自己の感覚に結ばれる二句目も同じだ(しかも、やはり動詞が一句を特徴づけている)。
おそらく、華子さんの句作りは、感覚と言葉が時間的/言語的に近いところにあるのだろう。その近さが感覚の繊細さ、生々しさを生み、作者の個性をダイレクトに読者に印象付けるのだ。