「海」と「潮」を並列することによって巧みに書き分けている。
「海」の中に「潮」があると当たり前のことをわざわざ言う発見だけでは終わらず、
「流しけり」という言葉を使うことによって、ヘラクレイトスの万物流転を思わせるような、
とどまり続けることはない海の中のすべてのものへの郷愁のようなものも感じる。
そして、流動的である海の力の源泉を垣間見せるような、大きな景となっている。
キラキラとした真夏の海を詠みつつも大人の味わいがある渋い一句。
「そよぐ」(『俳句 8月号』角川学芸出版、2013)より。