生前と死後のあはひの夕涼み   岡本紗矢

生きているこの今を「生前と死後のあはひ」と表現することによって、
この時間に向き合うだけでなく、「生前」の時間も「死後」の時間とも少しふれあう。
この世は「夕涼み」である、と捉えるところにゆとりある心持ちと切なさを感じ、
忙しい日常の中で読者をふと立ち止まらせる優雅さを持つ一句。

『向日葵の午後』(ふらんす堂、2014.6)より。