秋立つや旅のはじめのもより駅   住友良信

旅に出ようと家を出て、まず向かうのは「もより駅」。
日常に慣れ親しむこの「もより駅」が、「旅」という非日常へもつながっているのだ。
立秋とはいえ、暑さの盛り。それでも、秋を思うとどこか切なく、
日常から遠ざかるということの涼しさや寂しさをも感じさせる一句。

鷹俳句会編『季語別鷹俳句集』(ふらんす堂、2014.7)より。