薄紙にキャラメル匂ふ花の昼   小野あらた

お花見シーズン、通りをぶらぶら歩くだけでも気持ちがいい。
ポケットに手をつっこんだときにふれた、いつかの「キャラメル」の包み紙。
ガムの包み紙(と噛み終えたガム)だとなんか嫌だし、キャンディーもべたつく。
キャラメルの匂いだけ残した「薄紙」だからこそ、なんだかちょっと愛しいのだ。

「隙間」(『俳コレ』邑書林、2011)より。