赤い帽子白い帽子と被りけり   高屋窓秋

「帽子」を次々と被る。それだけの景だが、わざわざ書くとなんだかとぼけた魅力がある。
言うまでもなく、掲句は〈赤い椿白い椿と落ちにけり   河東碧梧桐〉のパロディである。
晩年はパロディの句もたくさん作っている。連作〈追憶の旅〉には、
きのこ雲糸瓜の水も間にあはず
茶のけむり雲上世界とどろけり
ひとりペンを抱けば風景又風景
碁を打ちし長き一生サギ・カラス
船長が沈んだ海の帽子は泳ぐ

などなど。原句を当てながら読むのも楽しい。

『高屋窓秋俳句集成』(沖積舎、2002)より。

第140回現代俳句協会青年部勉強会 「読み直す新興俳句 何が新しかったのか ①高屋窓秋」