ふわふわの黄金であり冬の蜂   高野ムツオ

まるでオムレツでも語るかのように「冬の蜂」を表している。
冬の蜂そのものを表現しているのではなくてもいい。
その蜂がいること自体が「ふわふわの黄金」なのだ。
どこか鋭いイメージのある蜂であるにもかかわらず、なぜか共感してしまうのは、
断定の力と、我々の直観、にあるのかもしれない。

『鳥柱』(『セレクション俳人 高野ムツオ集』邑書林、2007)より。