蚯蚓より蚯蚓生まるる夜の星   野口る理

 目も手足もなく、柔らかで湿った体で土中に棲んでいる。雨のあとなど、地表に出た姿を見ると、体の一部に白濁した帯のような太い部分があることに気付く。ミミズは雌雄同体で、この太い帯状の環帯を擦り合わせて交接し、受精し、卵包を作る。子ミミズは、土中の卵包に包まれて育ち、日が満ちると卵包を破って出る。薄い桜色の透き通った体は、小さいながらもすでに成体と同じかたちをしている。

 闇中に声も立てずに命を養うミミズと、夜空に光る星との取り合わせが鮮やか。

「眠くなる」(『俳コレ』邑書林、2011)より。

One thought on “蚯蚓より蚯蚓生まるる夜の星   野口る理

Comments are closed.