枯菊を括ればじわと押し返す   広渡敬雄

枯菊を括るということは、捨てるということだ。
からからになりぼろぼろの菊を括ったときの、細やかな実感。
「じわと」という言葉はもう力尽きてしまった枯菊の最後の生命力を確かに捉えていて、
静かな写生の中に、あたたかな思いを感じる。

『ライカ』(ふらんす堂、2009)より。

第58回角川俳句賞受賞、おめでとうございます!