「人間」に「ひと」とルビ。
大きな文旦が人間を訝しんでいるように見えるという擬人法。
訝しむ様子が表れるであろう目や眉や声がないのはもちろん、動くこともない「文旦」。
そこから「訝しむ」という言葉を引き出し、共感を誘おうという勢いがある。
たしかに、蜜柑や西瓜と比べると「文旦」の存在感には人間に媚びるようなところがない。
そしてあまりにも大きな文旦を前にして、人間のほうも少し訝しい思いがあるのだろう。
「文旦人間」という謎のキャラクターが見え隠れするところも訝しく面白い。
「諸家自選五句」(『俳句年鑑 2013年版』角川学芸出版)