俳コレ竟宴シンポジウム・パーティー録

2011年12月23日(祝)、アルカディア市ヶ谷で、俳句アンソロジー『俳コレ』(週刊俳句編/邑書林)出版記念の、シンポジウム&パーティー「俳コレ竟宴」に参加してきました。野口る理はアンソロジーの一員として入集、神野紗希は南十二国さんの作品を選句・小論を担当しました。

この本の特色、わかりやすいのは以下の2つ。

①「週刊俳句」編集部による人選。週刊俳句の色がたのしめる。
②アンソロジー入集の各俳人の100句は、自選ではなく他選。

全部で22人、10代から70代までの俳人(比較的、句歴の浅い人たち、つまり新人に近い人たち、という括りのようだ)の100句が収録されています。

会場では、邑書林の書籍を販売するコーナーのわきに、俳句関係の同人誌販売スペースが。週刊俳句のみなさんのお声掛けで実現。高校の文化祭みたい。

スピカもばっちり置かせていただきました。

シンポジウムは、第一部(50分)と第二部(120分)の二部構成。
一部は、神野紗希×佐藤文香で、テーマは「読むと詠むのあいだで」。
長年つちかってきた息の合ったトークで、なんとか二部の前座をつとめました。
終わったところで、記念撮影、の一枚。

第二部は、「撰ぶこと 撰ばれること」。
『俳コレ』の、作品発表者(撰ばれた人)と、選句した人(撰んだ人)とのディスカッション。
出演者は、司会の上田信治さんを含めて、なんと9人。すごい大所帯。
上の写真は撰んだ人。左から、村上鞆彦さん、榮猿丸さん、櫂未知子さん、筑紫磐井さん。
下の写真は、一番左が司会の上田信治さん、あとの四人は撰ばれた人。
左から、依光陽子さん、矢口晃さん、松本てふこさん、福田若之さん。

信治さんの的確なさばきにより、数多の面白い発言が聞ける。
なかでも面白かったのは、パネリストの村上鞆彦さんと、会場で指名を受けて発言した池田澄子さんの意見が一致していたこと。以下、概略。

●村上「俳句の短さが撰を必要とする。俳句はあまりに短すぎて、自分ではよさが分からない」

●池田澄子「撰は、俳句が短いから必要なもの。あまりの短さに、〈何を自分が書けたか〉が分からない」

私は、まだ、何が書けたかどうかわからない、ということもわからない場所にいるのだと思いつつ、<何を自分が書けたか>が分かってくれる人のいる幸せを思ったことでした。

また、同じく会場で指名を受けた小川軽舟さんが「一句一句えらぶのと、俳コレ100句の撰をするのとは、全然ちがう。使う筋肉が違う。一句を撰ぶのは決断。評はあとで考える」と発言したのも興味深かったです。いい句を一句見つけるための選句と、育てるため・プロデュースし、育ててゆくための選句。このふたつが違うというのは、当たり前のようでいて、きちんと確認しておかなければいけないラインだと思います。

メモをとる、る理。

会場の写真。俳人がたくさんきています。さて、何人わかるでしょうか。10人以上見つけた人は、ちょっと、ミーハーすぎます。

さて、シンポジウムも無事、有意義な発言をいくつも引き出して終わり、会はパーティーへ。
となりのパーティー会場では、シンポジウムの第二部の前に投句締切だった、一句出しの句会の披講が行われました。みんな、誰でも一句を投句。その一覧から、『俳コレ』関係者(40人以上いたかな)が、3句(のうち一句は特選)撰んで、発表しました。特選の人には、邑書林からのプレゼントと、選者からのプレゼントが。

る理、選句を発表。

紗希、選句を発表。100ほどあるにもかかわらず、二人の選句がまったくかぶる。特選をつけた句も同じ。ちなみに露結さんの句でした。

縄跳びの縄落ちてゐる跳ぶべきか  露結

今回の竟宴の模様を、藤田哲史・生駒大祐両氏が、U-stream配信(↑写真の二人)。
一部の紗希・文香の対談と、パーティー会場でのインタビュー風景などが、ネットで生中継されたようです。

ふたりの働きをのぞきこんでいる、オトナ(西原天気・関悦史の両氏)二人。

インタビューは、パーティー会場から、その都度、俳人を引っ張ってきて行われた模様。
上記の写真は、左から、生駒大祐さん、関悦史さん、榮猿丸さん、林雅樹さん。
猿丸さんのかぶっているウィッグは、なんと御中虫さんのモノを拝借。

今度は、関さんが、ウィッグ拝借。撰んだ関さんと、撰ばれたる理との対談。

そして、句会が終わったあとは、順番に、22人のアンソロジー入集者のスピーチ。
る理は、最後に「トリをつとめますのは…」ということで、呼ばれてしゃべる。

しかし、もちろん、本当のトリは、週刊俳句のおふたりなわけで。

西原天気さん。目がきらきらしてるでしょ。

上田信治さん。目がきらきらしてるでしょ。

この、目がきらきらしているふたりが中心になって作った本、『俳コレ』。
自由の風を感じます。まだご覧になっていないかたは、ぜひ手にとってみてください。

では、最後に、わたしが句会に投じた一句を挙げて、しめたいと思います。

読めば雪詠めば雪そのほかはなし     紗希

(コウノサキ・記)

【関連リンク】
●「週刊俳句」の『俳コレ』おしらせページ

邑書林「俳コレ」ウェブサイト

スピカのオンラインショップ『俳コレ』販売ページ

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