アワアワあわのせいほかな 第四話「あなたこなたでどーすんの」

(『阿波野青畝全句集』花神社、1999)

『あなたこなた』を読む

こんにちはー、28歳麒麟です(皆様ほんと、ありがとうございました(ひとりっきりの誕生日パーティーやってました。))、今実家に帰っているんですが、実はですね、僕実家ではお酒を一滴も飲まないんです、父は少し変わっていて、我が息子は酒も女も博打もやっとらんと信じているのです(そっちのが可哀想でしょ)、僕が18歳から一人暮らしをしているせいで、ズレテいるのでしょうか、僕はもう28、おっさんの階段をスタタッタと楽しげに登っているのに、どこの国の聖職者がそんな綺麗な生活をしているもんか、ドロッドロじゃい、・・・と思いつつもなんだか悪くて、良い息子で居てあげようと実家では禁酒をしています、テレビとかも一緒に観たりします、父さん、いつも酷い生活をしていてごめんよ。

あぁ酒が飲みたい、酒が飲みたいなぁ、ぷるぷる・・・。あわ、あわあわ

ん?あっ、阿波野青畝の続き読もう、って長いね前書き、第七句集『あなたこなた』やりましょ
さて、僕が産まれた年に出たこの句集(1983刊)、どんな俳句が詰まってるんかいな
さ、出発っ!

爪に火をともす育ちの老の春

つつましい、これは迫り来る老の春の序曲に過ぎない

双六や二浪三浪おもしろき

前書きは、二浪は二年間の浪人をいう、・・・嫌、というか駄目でしょ。

田を作れよの初夢の父怖ろし

父さん、初夢だぜ、空気読んでよ、と言ったとか言わなかったとか。

野蒜噛む是又花鳥諷詠詩

野蒜もですか?いいえ、何でも(木霊的な)

只廻る上へ上へと芋水車

只廻り過ぎてかえって面白い

天寿とは申さるるらむ鶴の引く

悼 富安風生 の前書きが、昭和54年です、青畝にとってもさぞ無念だった事でしょう。

貝寄風に足留めされて珊瑚買ふ

前書きは土佐中村、貝寄風に足留めされてさ、ふふっ、と涼しく言えるぐらいじゃないとね。

海女昼寝ほつほつ覚める頃の波

海女さんって大変だと思うんですが、青畝が描く海女さんはなんだかいつものどか。

木魚ぼくぼく谺ぼくぼく永き日を

自由だなぁ、のびのびしてます。

草笛をいくつ捨てしや又吹けり

子供ですかっ?
いや、だってさ・・と言ったとか言わなかったとか。

青蛙青畝先生を逃げにけり

え~、うん、でも可愛いじゃないですか、青と青ね、うん、良いんです。

初螢ゆるく文机あるきけり

ゆるくが非凡、ぽつぽつ歩く様が見える


捨てられし山女魚は山の蠅のもの

たはは、そうだけれども、悲しいは、どこか可笑しい。

あな無惨ぴくりぴくりと串岩魚

マジかよ青畝先生ー、とか思いながらも、やはりどこか面白い、秘密はどこにあるのかなぁ。

四万六千日のお香に火傷せり

あはは、ささやか、でも本人にとっては大変。

蜻蛉が流し素麺見まもれり

それを青畝先生が見まもってるのね、タハハ

しぐれしと素十大声満足し

素十さん超元気、そういう人だったんだなぁ、とよく伝わってきますね。

喉ちんこ大きくふくれ風邪の神

うん、それが風邪です。

しやぶしやぶにあたたまりつつ年忘

良い年忘だなぁ、ただ食べたから詠んだんでしょうけど、不思議とハマってる。

炎上のごとく壷焼焦がしけり

その前になんとかならんかったんですかい?

鯉幟さまにもならで垂れにけり

あら、垂れにけり・・・、さまがなんだか可笑しい。

冷し馬しづく鼻より落しけり

つーっと滴が走る様子が見えますね。なんでもないんだけどね、なんでもなくない。

巨き犬避暑客を恋ひよだれ繰る

前書きは軽井沢、なんだか色々台無しですよ。

蟷螂は狐のごとく歩みけり

それは何だか聞いた事がない不思議なごとく俳句、これは魅力的です。

ジヤスミンの茶碗を置けば蠅の来る

ちびまる子ちゃんの世界のような明るい不条理、蠅って・・

肌脱ぎをして空港の籐椅子に

前書きは南寧、良い時間。

鈴(りん)きこえくる阿波へんろ伊予へんろ

遍路は平仮名で書くと、へんろ、動きが出るんですね。

虹寒く異国の墓地に古りにけり

寒くて辛く美しく

鷹真澄一と羽ばたきもなかりけり

もうかなりの真澄具合、なんだか、あぁ鷹はやっぱり冬の季題なんだなぁと感じました。

新蕎麦をすすりて故人恋ひにけり

昔お医者さんから睡眠薬を処方してもらってた時期に、「女が出来れば治る」と言われ、他人事だなおい、と思った事があります。

大根畑枯野を青く塗り替へぬ

草田男の、冬空を今青く塗る画家羨し、の句も好きですが、これもまた良いですね。塗る、塗り替へぬ、大分印象が違いますね。

かづら橋冬将軍に隙だらけ

タハハ、寒空はだか(もうほんとこの芸名が好き)ですな。

推敲は疲るることよ年惜しむ

あ、本音・・・。

天寿いつなりとや問ひて年惜しむ

いえ、まだまだ、僕らは青畝翁が長生きしてくださったおかげで、ほんとにたくさんの置き土産をもらってます、もっと読まなにゃあ。

弟子として虚子を敬ふ老の春

この手の俳句は苦手ですが、本当に心が籠っている時にはジンときます、どう違うんだろうなぁ。

猿蓑をさらに習はん老の春

ほらー、僕らもツッパッてないでやらないとだめなんですよ

さすが罪なき猥談や老の春

さっきから楽しそうスね老の春、若い内に罪深い猥談をやっておきましょう、卯波とかで(営業妨害)。

馬糞風とは屯田の物語

ば・・・馬糞・・風スカ?

清拭(せいしょく)を待つガラス窓馬糞風

かなり清拭待ってます

ラーメンの汁余したりスキー穿く

くだらなっ!とか言って笑ってしまったら、もう青畝翁に飲まれてます。

くだらなっ!ぷっ、あ・・・。

春の雪明るし法王の日本語

空を飛ばない方のね

子規左千夫茂吉とならべ実朝忌

実朝かよっ!と言ったらもう飲まれてます、もういいや、飲まれよう、タハハっ

備中の鍬に挟まる烏貝

笑えないタダゴトとタハハと笑ってしまうタダゴトの研究をやらないといけないかもしれませんぞ

けものめく針のサボテン春日影

そんな事はない

サボテンに子が殖えてをり春日影

これはある、サボテン好きだなぁ

昼網の鮑はさすがよく動く

これでうまそうと思うんだから人間は残酷

天の川周の天下は無かりけり

天の川にロマンを感じます、特に男性はこういうの好きでしょ?集めたなぁ、『三国志』60巻。

コンパクト日焼せし顔ここに存り

そうですか、タハっ

虚子がせし縁側散歩身に入みぬ

虚子と縁側散歩の組み合わせがぴったり過ぎて素敵。

はららごをどどどと堕す母の鮭

・・・そんな風に言われたら食べれないよ

鷹の目は青畝を凝視せざりけり

そんなふわりとした人間になりたいな

治聾酒や俺のぐい呑益子焼

いやでも、ぐい呑は男の玩具さ。

早乙女の苗字ほとんど本間とや

ホンマ?とかけて楽しんでいると、信じたいやら信じたくないやら。

青畝老いたりハンモックよそ目して

いや、楽しんでますよね

いやぁ~長いっ、876句もあるんですもの、青畝の句というか句集を読んでいると、毎日つらいけど、うん、長生きも良いんじゃないかな、って思えます、そんな俳句を作れるようになりたいな。

ちょっとしみじみしちゃったぜ、では
バーイ